ABOUT

しんしんし


踊りを〈わたしたちの存在を照らす術〉と捉え、
公共にひらく。



しんしんし の人たち プロフィール

藤原佳奈 

「あなたもわたしも、どんなに格好悪くても生きていていいんだ」ということを確かめるように、演劇作品を創ってきました。自分の身体と相手の身体に起きたこと、その共通するものと違いを見つめ、お互いの身体を感じ、対話することがわたしにとっての演劇行為でした。今、生きていると、存在することに理由や強みを求められ、何もなくてもただ居るだけでいいと実感することはほとんどありません。自己肯定感という言葉が最近よく使われますが、存在に肯定も否定もなく、誰しもすでに尊厳があるはずなのに、どうしてこんなに難しいのだろうとずっと考えていました。2021年末、知念大地の踊りと出会い、この踊りは誰でも共に居られる時間だと衝撃を受けました。様々な価値観が対立し、飛び交う情報の中から手がかりを模索する今の時代、踊りが重要な始点になると確信し、知念と話し合い“しんしんし”の活動を始めることにしました。
あらゆる差別も生きづらさも、世の中の全ての傷は、尊厳の問題だ。わたしたちがそれぞれ、わたしたちとして生きていく方法について、ここから、新しく世界を編みなおしていきたい。


◆藤原佳奈(演劇家)のこれまで
身体の“態(たい)”を手がかりにわたしたちのはたらきを見つめ、演劇作品を創作してきた。2013年~2021年まで演劇創作ユニットmizhenの代表を務め、脚本・演出を担当。mizhen「夜明けに、月の手触りを」が第21回劇作家協会新人戯曲賞最終選考ノミネート。mizhen「Sの唄」で平成28年度北海道戯曲賞優秀賞受賞。演劇×動画の祭典第5回QSCで「マルイチ」がグランプリ受賞。2019年表参道の取り壊し直前のアパートで「mizhen 裏参道フェスーおわりと、」を開催、能「卒都婆小町」を原案にした演劇「小町花伝」をセルリアンタワー能楽堂にて上演、世田谷区の居ぬきスナックを活用してアートイベントを主催するなど、様々な場所での演劇作品の上演や企画に取り組む。2020年世田谷パブリックシアター『地域の物語』ファシリテーター、とよはし芸術劇場主催 高校生と創る演劇『Yに浮かぶ』脚本・演出。2021年 SONY Park展 AUDIO GAME CENTRE+『幽霊のいるところ』ゲームデザイン・脚本。2022年神奈川県主催 分身ロボットOriHimeプロジェクト『星の王子さま』脚色・演出。同年、兵庫県豊岡市に移住。
《映像》高校生と創る演劇『Yに浮かぶ』ドキュメント映像「みんわとみらい」

知念大地

2004年から始めた大道芸を2016年に辞めたのには理由がある。芸の練習をしようと思い立って道具を手にした時、「俺は人を喜ばす為に生きているんだろうか」と感じてしまって、涙がポロポロ流れて止まらなかった。芸で生きると決めたから芸で生きていくしかなく、観客の前にただ何もやらないで立っている時期もあった。人との差異や才能を観客との間に置く事を拒否するわたしの身体の芯を、わたしは掴まなければ、生きていかれないような気がした。人と向き合うということは、命と向き合うということだと感じ、命に関わる場所へ行った。自分が産まれた病院。お祖母ちゃんが第二次世界大戦のときに隠れていた自然壕。沢山の人が亡くなった戦跡。焼身自殺現場。福島第一原発付近。震災跡地。そこに観客はいなかった。その場所場所に人間が生きる上で、本当に大切なことがあるように感じた。死に関わる悲しい場所では、今生きていることを、祝福されているように思った。そんな芸能がやりたかった。何ものでもない、ありのままを肯定するような。基地闘争の現場や反戦を掲げ館を開いた方々の場所にも踊りに行った。わたしは、その場所に居れなかった。「今は束になる時期だ」と言われ、従わされる気になるのだった。居たいのに、居れない、その申し訳なさが苦しかった。
色々に挫折してまだ残っているもの。
廃墟のようなわたし。そこに、風が鳴る。わたしでないものが、廃墟に命を育てていく。


◆知念大地 のこれまで
2004年池袋の路上で大道芸と出会い、この道を志す。以降、国内外の大道芸フェイスティバルや路上で多数の芸を披露。2008年東京中野オルタナティブスペース「plan-B」で田中泯のオドリに出逢い衝撃を受け、単独オドリlive『おもいっきりふくラッパ』を1年間のシリーズとして開催。2013年、映画監督・深田晃司から声がかかり、映画『ほとりの朔子』にダンサー役で出演。2014年より、幼少期を過ごした埼玉県岡部に暮らし、更なる飛躍を求めて芸を磨く。同年、田中泯演出・知念大地単独踊り公演「調査ー土編」(@plan-B)上演。2016年 大道芸を辞め、埼玉県秩父に踊り場を開設。以降3年間、踊りの活動に専念。2019年 兵庫県豊岡市に移住。2020年より、JAPAN LIVE YELL projectにて但馬地域全域の保育園や学校等を大道芸&踊り上演で巡回。2020年豊岡市主催THEATER豊岡市内各所にて『ひしと』大道芸パフォーマンス開催。豊岡演劇祭フリンジ 大道芸&踊り『続・ひしと』、映画(野澤和之監督作品、知念大地ドキュメンタリー映画『踊りたい大地の舞』@豊岡劇場)にて参加。21年NHK土曜ドラマ「6畳間のピアノマン」パフォーマンス振付。
《映像》知念大地 大道芸(2009)
《映像》知念大地(HARU名義)踊り(2016~18)
《note》「こうきょう舞までの足あと」 「知念大地-映像で辿る踊り・身体の変遷-」

しんしんしの活動について

しんしんしのレポートや、言葉 ー【しんしんし note】
踊り映像や、記録映像など ー【しんしんし YouTube】